A:幻の大花 サボテンダー・バイラリーナ
数十年に一度の周期で咲く、幻の大花を咲かせたサボテンダー。
その花の香りは、扇情的な踊り子が男を興奮させるように、
サボテンダーを猛らせるというわ。
集団大暴走が始まる前に、駆除しなくちゃね。
~モブハンター談
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ショートショートエオルゼア冒険譚
ウルダハのグランドカンパニー不滅隊本部で担当官からターゲットについて説明を受けた2人のミコッテは横に並んで人で賑わう国際市場を歩いた。
担当官からの説明では、数十年に一度現れるという幻の大花を頭に咲かせたサボテンダーは他のサボテンダーを惹き付ける不思議な力を持っていて、釣られたサボテンダーは頭に花を咲かせたサボテンダーの煽動のまま操られ、結果集団暴走を引き起こすのだという。聞いた話だけではいまいちイメージがわかないが、頭の上に帽子のように花を咲かせたサボテンダーが居るということなんだろうか。
いずれにせよランクとしては上位に当たるAランクのリスキーモブだ。2人は気を引き締めザル大門をくぐった。目の前には風が吹く度砂埃を上げる荒れた大地が広がる。少し高台になったザル門からは刺抜盆地と呼ばれる荒野をかなり遠くまで見渡せる。ザル門から少し坂を下ったところで左右に分かれる街道の先を眺めるとそこここに小動物や無数のサボテンダーの姿が見える。確かに見えている範囲のサボテンダーが集団で暴走したなら正攻法を旨とする正規兵では制圧するのに骨が折れそうだ。
「とにかく早く見つけないと。他のサボテンダーが釣られてからじゃ手が...」
振り返りながらそこまで言って相棒のミコッテがジッと立ち尽くしているのに気付いた。彼女は徐ろに指を指して言った。
「ねぇ、アレ気付いたらまずい感じ?」
彼女の目線の先を追っていくとソコに存在を気付かれまいと城壁に張り付き、気配を消す……いや、存在感しかない巨大なサボテンダーがいた。サボテンダーは虚空を見つめジッとしている。その頭にはとうもろこしの髭のような赤い花が引っ付いていた。
「……いた」
あたしは何故だかドッと押し寄せる疲労感を感じて肩を落として大きな溜息をついた。